『シベリウス・プロコフィエフ&グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲』 by Jascha Heifetz
【収録情報】
・シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
ヤッシャ・ハイフェッツ(vn)
ウォルター・ヘンドル(指揮)シカゴ交響楽団
1959年、シカゴ・シンフォニーホール【3トラック録音】
・プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番
ヤッシャ・ハイフェッツ(vn)
シャルル・ミュンシュ(指揮)ボストン交響楽団
1959年、ボストン・シンフォニーホール【3トラック録音】
・グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲
ヤッシャ・ハイフェッツ(vn)
ウォルター・ヘンドル(指揮)RCAビクター交響楽団
1963年、カリフォルニア、サン・マルコ・シビック・オーディトリアム【3トラック録音】
録音方式:ステレオ(セッション)
ハイフェッツはシベリウスのヴァイオリン協奏曲をトーマス・ビーチャム指揮ロンドンフィル(1935年11月26日 ロンドン、アビー・ロード・スタジオ)に世界初録音しています。この古い記録より約四半世紀後、ワルター・ヘンドル指揮シカゴ響(1959年1月10&12日 シカゴ・シンフォニーホール)と収録したものが本盤に収められています。
さらに言うと、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番は、ハイフェッツが取り上げたことで、その普及がすすんだと言われています。これも古くは、作品発表2年後のクーセヴィツキー指揮ボストン響(1937年12月20日 ボストン・シンフォニー・ホール)の音源もありますが、本盤は、シャルル・ミュンシュ指揮ボストン響(1959年2月23〜25日 ボストン・シンフォニーホール)が収められています。
冷たいヴァイオリニスト、と言われることもあるハイフェッツ。
自分が初めて買ったハイフェッツのディスクがこちらであったこともあり「どこが冷たいんだろう?」と思うほどに熱演。強い音色で徹頭徹尾弾き切る姿は人間業とは思えない所業です。
シベリウスの第1楽章はどこまでも張り詰めた空気感で音楽全体を引っ張っていき、そして2楽章の熱演を聴けば聴くほど、果たしてこのヴァイオリニストはココまで熱く弾いて、これ以上到達できない高みに至ったらどうするのだろう?という恐怖感を乗り越えてどこまでも行く姿に圧倒されます。
ほんと熱演と言うしかない。
完璧を求めるならヒラリー・ハーンのディスクも圧倒的ですが、これは熱量と言う点で誰にも超えられないものを持っています。ほんとスゴイ。
蛇足ですが、プロコフィエフの第2番も本当に美しい。
第2楽章は良く知られた楽章ですが、見事に多彩な音色で楽しませてくれます。
さらに言うとグラズノフ。
冒頭から熱く歌い込み引き込まれます。これって隠れた名録音だと思いますよ。
このためだけに買ってもよいと思う。それだけぶっ飛んでる。
それでは、また次回。