実はこの理論、別に新しいものじゃありません。
但し最近になって『インターリーブ学習法』とヨコ文字で打ち出され始めたので、にわかに注目度が増しているものではありますが・・・。殊、音楽、特にヴァイオリンやピアノを学ぶ学生にとって、インターリーブ学習法は身体に染みついた学習方法と言ってもよいかもしれません。
By Wikipedia
『インターリーブ』
インターリーブまたはインターリービング(英: Interleaving)は計算機科学と電気通信において、データを何らかの領域(空間、時間、周波数など)で不連続な形で配置し、性能を向上させる技法を指す。
これだけじゃ、何を意味しているのか分かりませんが、認知心理学の世界でのインターリーブとは、「関連性のあるもの、もしくは違うものを混ぜて学習すること」を言います。
Interleave、邪魔する、ってわけですね。
音楽ならば、読譜、聴音、分析、理論、曲の演奏といった練習をそれこそコロコロとかわるがわる行います。それこそ心の準備が追い付かないくらいのテンポでこなす時もあります。これによって関連性のあるもの、もしくは違うものを混ぜてメリハリのある学習を行うことによって、個々の特徴をより鮮明につかめるため身につきやすくなるから、なんですね。この教育法はスズキメソードや、それだけでなく様々な音楽教育方法に広く取り入れられたものなので、真新しい感じは誰もしないと思います。
まぁ、とは言え最低限のルールは有ります(実践してみた経験も加味します)。
1)あまりにもかけ離れた事柄を挟まない
例えば筋トレと料理と音楽理論と歴史の勉強をワンセットにして・・・というのはNG。
何がしかの関連性を持っていなければ、それはただの連続性のない個別事案がただ件数が多く転がっているだけの仕事と変わりません。あくまでこれは脳に記憶やコツなどを定着させるため(定着しやすいように)行うもの。だからこそ、ひとつの横串で繋がる何かが無くてはいけません。
2)結局はマクロの観点では反復学習が大事
インターリーブ学習法の対義語として反復学習が取り上げられますが、かといって反復学習の効果もまた絶大なのです。単純に反復学習だけやっているよりはインターリーブ学習の方が効果が高い、と言っているだけであって反復学習の効果は無い、と迄は言っていません。またインターリーブ学習を取り入れつつも、結局はその繰り返しで定着させていくのです。つまりはこれもまた反復学習の一環、ともいえるのです。
つまりはこういうことです。
反復学習の反作用はだいたい以下にまとめられます(勉強ではなくて運動において)。
・正しい形ができていないまま反復練習しても悪いクセが定着する。
・過度に同じ動きばかりをしていると神経回路の成長が偏り伸びしろを奪う。
・同じ動きを過度に繰り返すと、深層筋が硬化し体が硬くなる。
だからこそ細切れにして色々な動きを行いながら全体像を形作っていく、これこそがインターリーブ学習の効果である、と。
これは時間の使い方にも現れます。
①15分x4セットで計1時間練習する
②1時間まとめて練習する
どちらも同じ1時間。それでも①の方が人間の脳に記憶が深く刻まれると言われています。
記憶→忘却→記憶→忘却→記憶、の反復が定着率を高めるのだ、と言うことですね。
当方はこれに自分を顧みる瞬間を挟むことをお勧めします。
記憶→忘却→記憶→俯瞰、というプロセスです。
音楽の練習で言うならば、発表会などがそういう場になります。
自身の録音を聴くだけでも物凄い効果があります。
要は、「学ぶこと」に「変化を付ける」ことで「いつも新鮮な頭脳で吸収する」方法、と言うことなのです。その結果として日々継続、反復していくことで音楽筋を鍛え、音楽脳を発達させることに繋がる、こういう事なんですね。
ってなことで、また次回。