【新しいヴァイオリン教本】第3巻 ~バッハ/グノーのアヴェ・マリア~

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『アヴェ・マリア(Ave Maria)』by Johann Sebastian Bach/Charles François Gounod

世の中には「これって天才だよなぁ」と思うことがしばしばあって。
元ネタは元ネタでステキな魅力を発揮しているにも関わらず、そのすてきな元ネタを見事に料理して別物に作り替えてしまう、というマジックを見せつけられる瞬間がたまにあります。それでも最近のアレンジと言うのは原曲を別ジャンルに作り替えると言う程度のモノ。それをはるかに超越して別の世界へ連れて行ってくれる、、、そんな楽曲はこの曲のほかにあるのでしょうか。と思う位にステキ。

グノーのアヴェ・マリアは、1859年にシャルル・グノーがヨハン・ゼバスティアン・バッハの『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』の『前奏曲 第1番 ハ長調』を伴奏に、ラテン語の聖句「アヴェ・マリア」を歌詞とした声楽曲です。
原曲となった前奏曲ハ長調を含む「平均律クラヴィーア曲集」は古来、ピアノ演奏の「旧約聖書」と崇め奉られる神曲だけに、数々の筆写譜が存在していました。そんな中で数多くの楽譜出版社は、出版にあたって特定の筆写譜を底本に採用していました。これが「グノーの『アヴェ・マリア』1小節多い事件」の原因となるシュヴェンケ(Ch.Schwenke)の筆写譜なのですね。
問題の1小節は、1783年にシュヴェンケが残した筆写譜にしか現れません。おまけに、18世紀から19世紀にかけての最も権威のあるチェルニー版をはじめとする多くの楽譜がシュヴェンケ版をベースとしていました。
1883年に「この1小節はシュヴェンケ(Ch.Schwenke)が挿入したもので、バッハの原曲にはない」と注意を喚起したビショフ版が出現するまで、この曲は1小節多いバージョンで世界に知られていたことになります。

グノーの『アヴェ・マリア』は1859年の発表ですから、この曲を作曲するにあたって彼が準拠したのは、シュヴェンケ版ということになりましょう。

Wikipediaでは下記の通り記載があります。

“なお、グノーの引用した伴奏譜は、厳密には前奏曲1番の22小節目の後に1小節新しい音形を挿入したものである。この1小節はクリスティアン・フリードリヒ・ゴットリープ・シュヴェンケ(Christian Friedrich Gottlieb Schwenke)が挿入したものである。”

漸く意味が分かりましたw。

演奏はグリュミオー。ピアノの響きに即興で付けていったと言われるこの旋律の美しさは、やっぱりメロディが空から降ってきた、とでもいうものなんでしょうかね。

ま、そんな感じでまた次回。

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