『無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009よりブーレ I/II(Bourree I/II)』by Johann Sebastian Bach
この曲は【鈴木バイオリン指導曲集/スズキメソッド】第3巻にも登場します。
え、これってチェロの曲なの?と知るのはワタクシお恥ずかしながら大学に入ってからチェロの先輩が朝方にこれを弾いていて、「なんでスズキの曲知ってるんですか~?」とアホな声掛けをしたのがキッカケw。チェロの聖典をなんとまぁ、やっちまったなぁというやつです。
フランスの名手、Paul Tortelierの演奏から。
ごっつい演奏で上手いとかそういうの置いておいて、チェロの音色ってこの芯の太い暖かい音色でありながら、遠くにまで届くその響きが全てだよね、って思うのです。
前回バッハと同い年でありながらぶっちぎりの人気度を誇ったヘンデル。
ぶっちぎりと言っても当時のランキングでは2位。1位はテレマンでしたが、というくだりを書きました。
当時の新聞紙上での音楽家人気投票では1位テレマン、2位ヘンデル、3位グラウプナー、以降順位がよくわからないがシュテルツェル、ハイニヒェン、ファッシュ、7位にバッハだった、という記録が存在するようです。
それだけ名を馳せたテレマンやヘンデルの器楽曲もステキですが、なぜかドイツの外に出ずにひたすら教会に籠って曲を書き続けたバッハの器楽曲に深い精神性を感じるのはなぜなんでしょうね。もちろん当時の人気度から言えば、テレマンやヘンデルこそが大作曲家で、バッハはそうではなかったのかもしれませんが。
かつては単純な練習曲として忘れられていましたが、パブロ・カザルスによって再発掘されて以降、チェリストの聖典的な作品と見なされるようになった、という無伴奏組曲なのです。現代においてはバッハの作品の中でも特に高く評価されるものの一つですね。
その聖典をヴァイオリン用に編曲したピースがこちらなのです。
重音からのトリル、明るい曲調から短調に流れ込みそしてまた明るい曲調へ戻る、このブーレ(bourrée)の流れは、17、8世紀の組曲に広く用いられたフランスの舞曲の形式に則っています。速い二拍子ですが、決して指が回らないとかそういったことは有りません。
それだけに初学者にとっても弾いて楽しい、聴いて楽しい、と揃っている楽曲であります。
ここはまずはチェロ版を聴いて、ホントのホントはこうなんだな、っていうのを頭の中に叩き込むのが良いと思われます。
参考事例として、この曲自体を発掘して世に知らしめたパブロ・カザルスの演奏から。
ヴァイオリン弾いていると、チェロに転向したくなるのですよね。
あの芯の太い、豊かな情感をもって歌い回せるステキな音色はヴァイオリンがどんなに頑張ったってなかなか出せないモノ、なのですから。
それを聴いたうえで、名手David Nadienの模範的演奏を。
美しいですねぇ。
ま、そんな感じでまた次回。