【新しいヴァイオリン教本】第3巻 ~ ゴセックのガヴォット ~

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これぞ『ザ・バイオリン』と言える曲ってなんでしょう?
人それぞれの曲があると思いますが、メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトだったり、サラサーテのツィゴイネルワイゼンであったり。そういった技巧的な曲ではなく、至ってかわいらしい小曲と言うことであれば、このゴセックのガヴォットも代表曲のひとつではないでしょうか?

『ガヴォット(Gavotte)by フランソワ=ジョゼフ・ゴセック(François-Joseph Gossec)』

原曲は、歌劇『ロジーヌ』(Rosine, ou L’épouse abandonnée, 1786年)の中の曲をヨーゼフ・ヨアヒムの弟子、ウィリー・ブルメスター(Willy Burmester, 1869年-1933年)が編曲したものが昨今知られているゴセックのガヴォットとなっています。

このウィリー・ブルメスターの名は詳しい人であれば聞いたことがあるって人もいるのではないでしょうか。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲にフェルディナンド・ダヴィドがいたように、ブラームスのヴァイオリン協奏曲にヨアヒムがいたように、シベリウスのヴァイオリン協奏曲にはウィリー・ブルメスターが助言者として存在しています

ところが、シベコンの初演はこのブルメスターさんではないのです。初稿ならびに改訂稿のそれぞれの初演にスケジュールを合わせることに失敗し、なんとこの歴史的名作の献呈先となる機会を逃してしまいます。この間ブルメスターは、初稿を再演する権利を獲得しようと作曲者に打診するもかなえられず、最終的には一度もシベリウスの協奏曲を演奏しなかったといわれています。

というウンチクは置いておいてw。
作曲家のフランソワ=ジョゼフ・ゴセック(François-Joseph Gossec,1734年-1829年)は、フランスで活躍したベルギー出身の作曲家・指揮者。長い生涯の間に、バロック音楽の終焉から初期ロマン派音楽の勃興までに遭遇した、という稀有な存在。モーツァルトと友人になったり、フランス交響曲の父として30曲弱の交響曲を書き上げ一躍有名になりつつも、自身の演奏会ではハイドンの交響曲を演奏し続けてハイドンに人気を奪われたり、はたまた確かに長寿で95歳まで生きたことで、それこそフランス革命を経験し、1815年のワーテルローの戦いでセントヘレナ島へ島流しに遭うと言う激動の時代をフランスで経験しています。

そんな彼の作曲した歌劇『ロジーヌ』(Rosine, ou L’épouse abandonnée, 1786年)を知る由もなく、ブルメスター編曲の小品を味わうのが今や精いっぱいの状態。
ゴセックの交響曲は弦楽にバロックの薫りが残りつつも、ハイドンと言うよりはモーツァルトの交響曲に近いスタイルでメロディックではありますが、如何せん録音が少なすぎて何とも語るに語れない、と言うところ。

ミッシャ・エルマン(Mischa Elman)

 
彼の歌い回しが伝統なのか、独特なのか、正直分からないくらいに我が道を行く演奏。
「たーったたた」とはじまるフレージングに「おりょ?」となります。でもこの美音と滑らかさはマネしたいところ。

 

天満敦子(Tenma Atsuko)

コチラが「うんうん」と聴ける演奏かもしれません。
エルマンが強力過ぎて、至ってオーソドックスに聞こえますw。

ガヴォット(Gavotte)は、フランスの地方のフォークダンスと、それに由来する古典舞曲の名称です。「ガヴォット」の名は、踊りの発祥地であるガヴォ(Gavot)に由来しているそうで、中庸のテンポの舞曲です。4分の4拍子ないしは2分の2拍子で記譜されていて、ガヴォット特有のリズムの特色は、小節の半ばかアウフタクトに始まることなんですが、この曲は珍しく1拍目から何事もなかったかのように曲が始まるのが特徴。

そういった意味でエルマンがその様に弾いていたのかどうかは分かりませんw。

ってな感じでまた次回。

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