オペラ作曲家として有名なロッシーニ最初期の作品である6曲の「弦楽ソナタ」は、近年発見されるまでワシントンの国会図書館に埋もれていたものです。一説には12歳時の作とありますが、その真偽はさておき、少年ロッシーニの余りある天分が端的に示されています。晩年はアーリーリタイアメントして美食家、グルメ王になってしまった彼の初期作品ではありますが、すでにロッシーニが後年オペラに投入したであろうメロディラインが垣間見える、という点でマイナー作品ではあるものの、ステキな曲であることには変わり有りません。
“ジョアキーノ・アントーニオ・ロッシーニ(Gioachino Antonio Rossini, 1792年‐1868年)は、イタリアの作曲家。音楽家の両親の教えを受け,早くから教会で歌ったり,歌劇に出演していたが,1807年にボローニャの音楽学校に入学。在学中に劇場作品を発表し,成功を収めた。 16年にローマで『セビリアの理髪師』で名声を博し,続いて『オテロ』 (1816) ,『泥棒かささぎ』 (17) などを発表,オペラ・ブッファ作曲家としての地位を確立。 24~36年はパリのイタリア劇場の監督として活躍,名作『ウィリアム・テル』 (29) を発表したが,32年以降は劇場作品を作曲せず,宗教曲,歌曲,ピアノ曲,室内楽曲などを作曲。 36年以降はボローニャに住み音楽学校校長をしながら静かな生活をおくった。 48年からフィレンツェに,55年以降は再びパリに住んだ。モーツァルトの作品を愛好し,古典的伝統のうえに自然な旋律と明るさを加えたはなやかな作風を特徴とする。”
全6曲で、各3楽章からなり、2つのヴァイオリン、チェロ、コントラバスという変則的な弦楽四重奏曲の編成になっています。この作品は、ロッシーニが1804年に後援者のアゴスティーノ・トリオッシの別荘に滞在した折に書かれたものです。トリオッシがコントラバスを演奏したため、彼が加わることを前提に、この編成になったそうです。
ジョアキーノ・アントーニオ・ロッシーニ『弦楽のためのソナタ 作品172』より第3番
Gioachino Antonio Rossini 『Sonatas for Strings, Op.172 – 3』
イタリア合奏団の演奏から。
豊かでかつ奥行きのある弦の鳴りを楽しませてくれる合奏団となると、黄金期のイタリア合奏団、またはイ・ムジチ合奏団かなぁ、と思うわけです。そんななかでも緩急自在に歌いながら、この3番は各楽器の猛烈なソロがあり、それが一つの売りになっています。
例えば第3楽章、ヴァイオリンの猛烈なスピードのソロなんかは、まるでパガニーニのような速さが求められるし、スリリングですよね。
というところで、また次回。