バロックと言えばバッハであったり、ヴィヴァルディであったり、またはヘンデルであったり。あのイメージを作り上げた功績は非常に大きいですが、彼らはバロック音楽においては後期、すなわち今までに作り上げられた音楽を踏襲しつつ、さらに高みへと到達した時代の作曲家たちです。
そんな彼らより四半世紀早く、遠く日本では豊臣家を支えた五大老の一人、宇喜多秀家が流刑地の八丈島で83歳の生涯を閉じたころ、にイタリアで生まれたアルカンジェロ・コレッリ(Arcangelo Corelli, 1653年‐1713年)。宇喜多家とは1ミリも関連性は無いですが(たまたま調べたら出てきたw)、ヴィヴァルディより25年、バッハやヘンデルより32年早く生まれているだけあって、中期バロックにカテゴライズされる訳ですが、そんな彼らにも引けを取らない自由な作風、美しい和声進行とメロディ。秀逸なのは美しいメロディのみならず、リズムが淡々と8ビートが続くようなワンパターンではなく、各パートが掛け合いながら、疾走感を味わえるような構成にしていたり、緩急の激しい展開を同曲の中に織り込んだり、とリズムと響きにおいて実験的なトライを随所で行った作曲家と言えます。
前回コレッリのラ・フォリアを紹介した際に『クリスマス協奏曲』を紹介しましたが、それだけじゃない名曲揃いの傑作集なのですよ、この合奏協奏曲集って。
→ 【新しいヴァイオリン教本】第5巻 ~ ラ・フォリア(La Folia)~
もともと旋律が美しい作曲家であるのに加えて、現代にも通じる古臭さのない洗練された響きは、最も影響を与えたとされるヴィヴァルディとも異なるし、神懸かった時のバッハにも通じる旋律の流れと和声進行の丁寧な扱いがコッレリの特徴ですし、現存する曲数は少ないけれど、そのなかでも生き残っているこの合奏協奏曲集は、言ってしまえば彼にとってのプラチナディスクみたいなもの。
なので、欧州ではコレッリって今でも人気のある作曲家のひとりであり続けるのですね。
そんな彼の合奏協奏曲集の中から第1曲目。
アルカンジェロ・コレッリ『合奏協奏曲集 作品6‐1ニ長調』
Arcangelo Corelli, 『12 Concerti Grossi, Op.6‐1, D major』
イタリア合奏団の演奏から。
イ・ムジチの演奏もステキです。コンマスがフェリックス・アーヨならではの目の詰まったレガートな演奏が極上に美しいのですが、オルガン付きゆえにここでは外しました。
そう考えると、イ・ムジチ同様に豊かでかつ奥行きのある弦の鳴りを楽しませてくれる合奏団となると、イタリア合奏団かなぁ、と。
アカデミー室内楽団なんかもありますので、それはお好みで。
こちらはどちらかというとレガート、というよりはその時代の奏法に合わせてマルカートというか、そういったニュアンスを付けた奏法になっております。
ま、どうあれ第1曲目のLargoからスーッと引き込まれます。
第4曲目Allegroでリズムの妙を楽しみながら、メロディメーカーでもあるコレッリの真骨頂をお楽しみください。
というところで、また次回。
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