『はじめに』
こんなオーケストラが有ったらいいな、ということで色々妄想込めて語りまくってきた訳ですが、どれもこれも空論というか夢物語だよね~って域を出ないかなぁ、なんて書いているときは書いている本人も感じながら書いている訳です。
①『オーケストラをつくろう(オケつく)編』
②『エレクトリックオーケストラ(爆音オケ)編』
③『サマソニクラシック(オケフェス)編』
④『シネマオケ(劇伴音楽)編』
⑤『地下鉄(メトロ)に乗って編』
⑥『UEFA(チャンピオンズリーグ)編』
読み返してみて、赤面モノ、意味不明モノ多々ありますが、そこにまたひとつ加えられるんじゃ?と思う映像を発見しちゃいました。
『リヒテルが21世紀に蘇る』
スヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter、1915年‐1997年)は旧ソ連、ロシアを代表する、というよりも20世紀を代表する大ピアニストです。21世紀を迎えることなく82歳で亡くなったリヒテルですが、この大ピアニストと世紀をまたいで競演する、というのが下記動画でございます。
https://youtu.be/40IRfETlvSs
Wikipediaによると、リヒテルは来日時「ポンジュース」を愛飲していたらしいので小脇にポンジュースでも置いてくれたら面白いのに、とかどうでもいいことを思っちゃいましたが、それはさておき(マジでさておき)、アンサンブルの呼吸や間を読みながら演奏を合わせてくる、という仕組みをAIを使ってコントロールしているとのこと。
確かに間のコントロールに若干の不自然さはあるものの、自動演奏に人間が合わせているのではなく、人間の演奏に合わせてきているのかな?と思える感覚です。
これって、多数の録音を遺したリヒテルならではのワザかもしれませんが、リヒテルの愛用したYAMAHAピアノとタッチから導き出される音色を再現、これをAIでコントロールしてアンサンブルする、ってめっちゃ画期的。
『AIだらけのレジェンドオーケストラ』
このAIがコントロールするのはピアノ演奏であり、弦楽器とはまた違った意味合い(弦楽器よりは鍵盤楽器の方がAIが再現しやすい)というハードルはさておき、ステージ上で指揮者と一部のリアル人間奏者がキューを出せば、例えば変な話ですが、ハイフェツとオイストラフとメニューインがオーケストラでアンサンブル、なーんて夢物語がもうすぐそこまで来ている、という事なんでは?と思っちゃったわけですよ。
もちろん、AIが奏でる音色はおそらくオーケストラアンサンブル用の音色ではないと思います。つまり、オーケストラでの演奏は倍音を豊かにならすソリスティックな奏法ではない、といった差はありますが、そのあたりも加味したような溶け合うような音色にしてきたとすると、これは非常に面白い結末を迎えるのでは?と思うワケです。
このシステムは、マイクとカメラを用いて共演者の演奏音や演奏時の動きを検出・分析し、次の瞬間に行うべき演奏を逐次予測する、という、まさにアンサンブル中に人間が注力している部分を地でやりながら、この調整部分を自動演奏ピアノ「Disklavier」に指示することで、人間とアンサンブルを奏でることが出来るようになっている、というのが基本骨子。さらに、リヒテルの往年の演奏を忠実に再現した特別なデータを用いて、タッチも加味したピアノ演奏を行うことが出来る、とのことで、自らのピアノ演奏を表現する映像をリアルタイムに生成してプロジェクターで投影することで、共演者と協調を図る機能も備えているとのこと。
つまり、単純に自動演奏ピアノで音源を再生するのではなく、共演者の演奏に合わせてそのピアノ演奏を柔軟に変化させ、さらに自らの演奏のフレージング、ブレスを共演者に伝えることで、息のあったアンサンブルを実現することができる仕組みといえるのです。
いやぁ、すごい時代になったものです。
ということでまた次回。