ヴァイオリンがどうやったって勝てないロシア伝統楽器が有るのご存知か?
百聞は一見にしかず。
まずはこの動画をご覧いただこう。
Wieniawski: Scherzo-Tarantelle Op.16
演奏者はBorys Myronchuk (ウクライナ)。
ウクライナのコンクールのチャンピオン。
何この楽器?アコーディオン?
タイプライターを横にしただけのような??
この楽器『バヤン(BAYAN)』というアコーディオンでロシアの伝統楽器である。
ロシア音楽に特化したクロマティック・アコーディオン。本来は全く独自の鍵盤配列を持った民族楽器の一つで、1907年にピョートル・ステリゴフによって開発された。後に、イタリア式クロマティック・アコーディオンを参照して、西洋伝統音楽に耐える構造に徹底的に作り変えられた。バヤンは右手のボタン配列が通常のアコーディオンと若干異なる。音の違いはほとんどないが、微妙なレヴェルでは違うと見られる。Bayanakko社は右の8フィートのリードを二種から三種に増やし、重さは16.5kgを越え音栓数は31に及ぶモデルを生産している。これだけの重さに耐えなおかつ余裕で使いこなすロシア人の体力がよく解る楽器の歴史が見える。現在も、発祥時のピリオドモデルと改良されたモダンモデル、どちらも生産されている。
出典:Wikipedia” アコーディオン”より
ロシア音楽に飽き足らず、アコーディオンと相性の良いバロックの世界へ。
Richard Galliano(Bayanの巨匠と弦楽のアンサンブル)
12の合奏協奏曲 作品8 から 「四季」 -ホ長調 RV.269 「春」
Trio Solotarev(Bayanトリオ)
12の合奏協奏曲 作品8 から 「四季」 -ト短調 RV.315 「夏」
Volodymyr Gaidychuk(独奏)
12の合奏協奏曲 作品8 から 「四季」 -ヘ長調 RV.293 「秋」
Milan Řehák (独奏)
12の合奏協奏曲 作品8 から 「四季」 -ヘ短調 RV.297 「冬」
極めつけがこれ。
Alexandr Hrustevich
Tchaikovsky: Violin Concerto In D, Op. 35
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲弾いちゃうわけ??
しかも圧倒的に上手い。スゲー。
ちなみに、前回はBayanのバッハを取り上げてみた。
『クラシックの名曲「トッカータとフーガ」~鼻から牛乳以外10選~』
演奏はSERGEI TELESHEV。
芸術性が極めて高くてこの演奏はスゴイ好き。
実はこれでバヤンのことを知って、色々検索してみた。
クラシック以外にもジャズとかラテンに当然ながらよく使われるわけだけど、敢えてこれをクラシックど真ん中にぶち込んできても哀愁漂いながらもアタックが効いていて、それでありながら耳障りでないし、オマケにオルガンと同じ原理であることからも暖かみが有る音色がどことなく心地よい、というのがウリかしら。
殆ど知られていない楽器ですけどね。
ヴァイオリンの4本の弦だけでも無限の表現力は有るって信じているけれど、伴奏もソロも同時並行で出来ちゃうバヤンには勝てないなぁ、ってこのトッカータトフーガを聴いていて思っちゃうわけですよ。
てな感じでまた次回。