こんなオーケストラがあったらいいな③ ~『サマソニクラシック(オケフェス)編』

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クラック音楽のフェスティバルって別に普通にありますよね。

海外で言えば、ザルツブルグ音楽祭(SALZBURGER FESTSPIELE)、バイロイト音楽祭(BAYRETHER FESTSPIELE)、そしてフィレンツェ音楽祭(TEATRO DEL MAGGIO MUSICALE FIORENTINO)が世界三大フェスティバルと言われているし。
これ以外にもイギリスのプロムス(PROMS)、イタリアのヴェローナ音楽祭(ARENA DI VARONA)、スイスのルツェルン音楽祭(LUCERNE FESTIVAL)あたりも超有名。
日本だってラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン、パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)、あとは別府アルゲリッチ音楽祭とか。
それゆえに、こういうので盛り上がっていきましょう!って話では決してないw。

『はじめに』

世の中、ミュージックフェスが溢れてる。
ここ数年、日本ではフェス文化が根付いて、毎年の春~秋における一大フェスティバルは季節の風物詩になってきている。例えば夏のフジロック、サマーソニックROCK IN JAPAN、秋のイナズマロックフェスLOUD PARKなど。

海外ではもともとクラシックフェスが盛んなように、あらゆるジャンルでフェスは元々盛んであり、2015年時点での海外音楽祭のランキングは以下にて発表されている。

1位 Tomorrowland  ベルギー
2位 Coachella  アメリカ
3位 Tomorrowland  ブラジル
4位 Sensation  オランダ
5位 Isle of Wight  イギリス
6位 Rock in Rio  ブラジル
7位 Stereosonic  オーストラリア
8位 Rock Am Ring  ドイツ
9位 Benicassim  スペイン
10位Mysteryland  オランダ

1位のTomorrowlandの動員人数は18万人、2位のCoachellaで57万人ですって。
上記ランキングは動員人数と興行収入の両方がセットなので、動員人数が多いからランキングが高い、というわけではないけれど、もうこれって数日間でこの動員って桁違い。
逆に言えば、音楽ってこれだけの人を動員できるだけのイベント性、力があるってことですよ。クラシックでもロックでもなくEDM(エレクトロダンスミュージック)系ですけどw。
あの伝説のウッドストック(1967年)は3日間で40万人だそうな・・・。

ちなみにクラシック最大のフェス、ザルツブルグ音楽祭のケースだと、例えば2016年度は7月22日~8月31日、41日間開催され、192公演で22万人、公開ゲネプロや特別公演なども含めると26万人以上の入場者を数えたと公表されている。
なんともマイルドな音楽祭であるし、ここでの趣旨はこういったクラシックの王道フェスは、文化伝統の継承の場として粛々と続けるとして、ドカーンとパッカーンといわゆる普通のフェスにオーケストラをショウ(Show)として成立させるためには何が必要なんだろう?って考えてみた、ってところにあります。

 

『音楽フェスにオケが出たらどうなるか?』

そもそも「いわゆるフェス」ってどんなん?という人のために非常に美しい映像を。
『Coachella Tilt-Shift』より

Coachellaをティルトーシフトレンズで切り取った、得も言われぬ平和を感じさせる映像。
もちろん前方のモッシュピットとか、圧迫死寸前の最前列ゾーンとか、はたまた膀胱爆発寸前の方々の映像とか、といった余分なものは切り取られたものですがw。

激しいステージアクション、照明やプロジェクションマッピング等の映像技術、そういった様々な「静」と「動」でいうなら完全に「動」に軸足を置いた演出。
音響も大きな会場の隅々までいきわたるように、PA(Public Address)が爆音を鳴り響かせつつ、映像と音響の誤差が出ないようにサウンドエフェクトを掛けて調整したりなんだり。おおよそクラシック音楽が追い求める理想形とは異なる現実。

それでもなお、クラシックまだ人々を熱狂の渦に巻き込む力を持っていると思うのよね。
お目当てのアーティストでなくても、演奏者はそれほど大きなステージアクションを取れなくたって、最先端のステージ技術を駆使すれば、充分に盛り上がれると思うのです。

それにはクラシック音楽の「弱点」をカバーしなきゃイカン。

 

『どげんかせんといかん問題点』

①弱音の芸術性をどうする?

クラシック音楽って表現の振れ幅が大きいことのひとつに、音量レンジの広さが挙げられます。つまり弱音と強音の差。でもこれってライブ会場では逆に仇となるというか、弱音は騒音にかき消されてしまうのです。

②クライマックスまでの長い道のりを待てない?

クラシックってポップスでいうところのサビまでえらく長い道のりを歩みます。が、盛り上がりに来たオーディエンスにとってみれば余計な演出。さっさと盛り上げてほしいわけですよw。ここをどうするのか?

③地味なステージングと顔の見えないプレイスタイル

基本イスに座るスタイル、かつ譜面を見ながら演奏するとなると、プレーヤーのプロフィール(横顔)しか見れません。こんなライブ、楽しいですか?

④大音量だとハウっちゃうアコースティックな構造

まじめな話、楽器にマイクを付けるだけではハウリングを誘発しやすい構造である弦楽器群がフェス等のLiveには向いていません。また雨天決行のフェスに超高級楽器群をどう扱うか、コレもまた問題でして。どうないしましょ?

 

『行きつく結論(到達点)』

・ 結局はエレクトリックな楽器によるオーケストラ(前段で説明)が必須。

これにより音像処理などを施して弱音は柔らかく、強音は音圧を強くして表現していくしかないが、いずれにせよアコースティックではないソリッドな楽器構造が必要。

・ 映像や舞台とのコラボ、ロックやポップスの作曲家への委託作曲を積極的に採用。

長い長いクライマックスまでの道のりを歩むような交響曲スタイルではない、別の表現形態を作り出していく。

・ プレーヤーは暗譜、またはプロンプターによる投影譜面により顔の見える演奏スタイルを模索。

着席しないと演奏できないチェロはドラムと同じでやむを得ないとして、それ以外のプレーヤーは動き回る。

もはやクラシック音楽って何?これが大ヒットしたとして行きつく先は新ジャンルであってクラシックではないのでは(楽器も曲も違うし)?という疑念が沸き起こる結論になっちゃいましたw。

てな感じでまた次回。

 

こんなオーケストラがあったらいいな③ ~『サマソニクラシック(オケフェス)編』” への1件のコメント

  1. […] ②『エレクトリックオーケストラ(爆音オケ)編』 ③『サマソニクラシック(オケフェス)編』 ④『シネマオケ(劇伴音楽)編』 ⑤『地下鉄(メトロ)に乗って編』 […]

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