クラシックがつまらない理由として、
『だってバッハとかモーツァルトが新曲出さないんだもん』
この秀逸な回答に対するひとつの安易な答えとして、昨今どこの企業も注力し始めたIoT(Internet of things)、ここで基本となるのはAI(Artificial Intelligence/人工知能)が発展してきたことによるもの。それであるなら、AIに過去のデータベース(楽曲)を学習させて生み出すことは出来ないのか?バッハやモーツァルトが新曲を発表することは出来ないのか?を調べてみた。
ココでの基本的な発想は、例えばバッハならバッハ以前の音楽データを読み込ませて、そこからAI働かせて創作する、というもの。モーツァルトなら「バッハ+テレマン+ヘンデル+ハイドン」的な流れでしょうか?
これって業界用語でディープラーニング(Deep Learning)と呼ばれる深層学習を経てなされる所業なんですね。例えばGoogleには、「Google Brain」と呼ばれるディープラーニング(深層学習)研究プロジェクトがあって、2011年にスタンフォード大学のアンドリュー・ング(Andrew Ng)教授によって始められたプロジェクトでは、2012年に、1000万枚のネコの画像を読み込んだコンピュータが、我々人間に教えられなくても、ネコの特徴をつかむことに成功した、ということでニュースになった、アレですね。
そのGoogleさんは「機械学習によって芸術や音楽をつくり出すことができるか」を追求するプロジェクトとして「マジェンタ(Magenta)」を立ち上げました。開発を行うのはディープラーニングを研究する「Google Brain」チームで、さっそくAIが作曲した約1分半の音楽が公開されました。
これまでにも、スペインのマラガ大学が開発した作曲する人工知能「ラムス (lamus)」はメロミクス・アルゴリズム(Melomics) によってわずか8分で楽曲を自ら作成。MP3や楽譜(PDF)、MIDI、XMLなどの形式で出力させる仕組みを持っていたりするものは発表されていたものの、若干斬新な仕上がりになっていました。
ただ、Googleのマゼンタは、昨年公開したオープンソースの機械学習ライブラリ「TensorFlow」をベースにしています。事前に入力されたプログラムに基づいて曲を出力するのではなく、自律的に音楽や芸術を創作する方法を学習し進化していくというターミネーターみたいなAIを目指しています。つまり、芸術(音楽)を生成する方法を学ぶアルゴリズムを開発して、そのアルゴリズムで芸術を創作するという仕組みです。こわっ。
そんななかで、Googleより少し遅れること半年でSony CSL(Sony Computer Science Laboratories)がまさにバッハの曲を学習させたDeepBach(ディープバッハ)による讃美歌調の曲を発表しています。
『ディープバッハは賛美歌的な、4声から成る多声音楽をモデル化することを狙いとしています。ヨハン・セバスティアン・バッハによる賛美歌のハーモニーを使ってトレーニングを行なった結果、私たちのモデルはバッハのスタイルでの賛美歌を生成できていると考えています。』
まぁ、いまのところバッハのメロディに対しハーモニーを生成するという所までのようですが、それでも相当すごい(それっぽい)。
なお、Sony CSLはビートルズっぽい曲調もアップしている。
もちろん今なら違和感ありまくりでも、そのうち慣れてしまうのか、はたまたさらなる進化を遂げるのか、これが見えないので怖いところ(新曲だせ~とか言っておきながら、ですがw)。こちらはFLOW MACHINESという、膨大な音楽のデータベースから、「それらしい」要素をAIが引っぱってきてミックスするというもの。選択・合成された音楽は、後にFLOW MACHINESの作曲家(人間)が適宜調整を加えるので、正確にはAIと人間の共同作品といったところですかね。
ちなみに、ここまで深いAIによる作曲でなければ、著作権フリーで楽しめるオンラインでのAI作曲をポチポチと楽しめる世になりつつあることをご存知でしょうか?
Jukedeck
https://www.jukedeck.com/
Ed Rex氏とPatrick Stobbs氏を中心とする音楽家やエンジニアが運営するオリジナルの音楽を自動生成でしてくれるオンラインサービスです。音楽のジャンル、曲調、曲の長さなどの項目を指定すると数十秒でオリジナルの曲を自動制作してくれます
ロイヤリティフリーの音源を入手する意味合いで、例えばムービー用の音源を「ジャンル×曲調×テンポ」を入力するだけで、AIが自動的に作成してくれるのがウリです。
メールアドレスとパスワードで登録が必要。
Amper Music
https://www.ampermusic.com/
これもJukedeckと同様にオンラインで作曲が楽しめるサイト。どちらかというと、こちらの方がよりイージーな感じではあります。ロックな曲調でテンポを上げていくとパワーメタルぽくなったり、浮遊感のあるギターリフであったり、といったものが出力可能になります。こちらもメールアドレスとパスワードで登録が必要です。
・・・と、まぁ、AIでバッハやモーツァルトが新曲発表!!とか言うにはまだ早いのでしょうが、結構近いところまで来ているのかも知れません。それであるがゆえに、簡単に量産できるような、世に溢れるメロディではない、ホンモノの芸術作品がAIより優れていることを引き続き見せてほしいですよね。作曲家の芸術作品が生まれるためには、生み出す人の苦悩や人生観など様々な背景あるいは物語というべきものがあって、その人の意思が芸術になっている訳で、そのストーリーがあるから我々はその思いを受け取って多かれ少なかれ心揺さぶられるわけですから。
[…] つい先日、AIでバッハやモーツアルトが新曲を出せるのか?というニュースに触れて、ディープラーニングって末恐ろしいのかなぁ、なんて触れたばかりでしたが、早くもこんな記事が。 […]