ヨーゼフ・シゲティ(Joseph Szigeti, 1892年9月5日 – 1973年2月19日)は、ハンガリー出身のヴァイオリン奏者。
父親の手ほどきを受け、ブダペストの私設音楽院予備校で歌劇場のオーケストラの団員にヴァイオリンを習い、ほどなくして、ブダペスト音楽院のフバイ・イェネーに師事。1904年にはベルリンのヨーゼフ・ヨアヒムを訪問し、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏して評価されている。
シゲティの演奏について、装飾を排したスタイル・精神性の高さなどが指摘される。「表面的美しさを排し、ひたすら音楽の深みをつかみとろうとした。汚い音だって辞さない。ときにはヴァイオリンが軋みをあげることもあった」「彼が現代のコンクールを受けたら予選落ちは間違いのないところであろう。考え方によってはシゲティは意識して流麗な弾き方や甘美な音を避けていたのだ。(中略)シゲティの厳しい音がヴァイオリンの限界を超えた精神的な深みを感じさせ、高貴さを湛えているのはまさにこのためなのだ」と評される。しかし、奏法が旧式で、音色が乏しいからだと揶揄する向きもあり、かのカール・フレッシュは「勉強不足。時代遅れのボウイング。デタシェ、スタカート、スピカートの部分では、弓がヴァイオリンの駒にあまりにも近づきすぎる。時々フォルテの部分で軋んだ音が出ている」と評された。
遺された録音の多くが、その晩年、技術的なピークを過ぎてからのものであることも手伝ってか、旧式の大家的な歌い回しも相まって実際そのように映ることも多々あるが、然しながら、その素朴でピュアにまっすぐな音を聴いていると、やはり、虚飾を排した真摯な音楽を表現したもの、と感じられる。
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